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RISORGIMENTO

第1章 流転


落合航
「結論から言おう。どうやら我々は『神の悪戯』に遭ったか、さもなくば『宇宙人』にでも侵略されているようだ」

十三宮勇
「信じたくありませんが、渡良瀬の一件だけでも頷かざるを得ないと言うのは、甚だ恐ろしいわね」

落合航
「全くだ。ここ関東は元より、確認されているだけでも北陸・伊勢、それに山城平安京など、各地で『敷島共和国軍』などと称する、新興の武装勢力が目撃されている。それも一斉に、だ」

ヘンゼル
「まさかとは思いますが、かつて日共政権が、極秘に研究していたとされる『クローン軍』では?」

落合航
「俺も本気でその可能性を考えた。だが、断片的な情報を聴く限り、そういうわけでもなさそうだ」

西宮"聖徳侯"堯彦
「彼等が何者であるか等、彼等に直接尋ぬれば良き事であらう?」

 閉眼して唱題に勤めていた総督が、口を開いた。

西宮堯彦
「誰が顕(あらわ)れやうとも、姉上の朝廷に従ひ、祖国再興を成就為む事が、我等皇軍の務め也。言ふ迄も無く、敵襲在る迄、軽率なる行ひは控へよ。代はりに『AB団』を動かし、彼等との接触を試みる。南十字・青鳥、其方等の手を借りたし」

落合航
「御意」

十三宮勇
「了解」

 その時、普段は総督府の職員に扮している側近が、慌ただしく駆け付けた。

空中警戒管制機"クリスタロス"@E-767
「総督、敵襲ですよ!」

西宮堯彦
「何と、早速『客人(マレビト)』の御出座しか。名は分かるか?」

クリスタロス@E-767
「ええ。『上野正斉』と称する者に率いられた軍勢で、『スラム街区の浄化作戦の途上、未知の荒野に紛れ込んだ。貴様らは敵か味方か?』などと申していますが…」

十三宮勇
「『敵ならば即、皆殺しにする』とでも言いたげね」

西宮堯彦
「回答の機を与へて呉れるだけ、紅衛兵よりは増しぞ。此の上は、我自ら会見為る」

落合航
「なりません、危険です!」

西宮堯彦
「案ずるでない。其とも、我を信用できぬと申すか?」

 総督は団扇太鼓(うちわだいこ)を手に門へと向かった。
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