第1章 流転
信じ難い異変の情報は、星川軍にも届いていた。武蔵に撤退した星川結らは、軍閥指導者である星川初(ほしかわ うい)の邸宅、大宮寿能(じゅのう)城に集っていた。
星川結
「…マジかよ?だからあんなに強かったのかよ!」
星川"鳳龍大姉"初
「ええ…現段階で分かっている事は、今話した通りよ。偵察の積りが怖い思いをさせちゃって、ごめんね」
天理陽晶
「まあ、無敵の岩月さんと航空支援のお蔭で助かりましたんで、大丈夫です」
岩月愛
「いえいえ。私は御家人として、当然の任務を果たした次第です」
長谷堂舞
「それにしても、なんだか戦国時代みたいな苗字の人ばっかりだねw」
天理陽晶
「全くだ。あいつら本当に『未来人』なのか?」
岩月愛
「星川家には、母上様とお嬢、更には私達を含め、北条氏ゆかりの者が多く居りますし、畿内では、豊臣の継承者を自任する方々が、勢力を広げておりますが、それらと関係あるのか…」
星川結
「未来ってゆ~より、全く別の世界がくっ付いて、『パラレルワールド』的な何かが出来上がったとか、そんな感じじゃねえの?」
星川初
「ともかく、あなた達をこれ以上危険に晒したくないわ。結、あなたはお友達と一緒に、浦和に戻りなさい。県庁はもちろん、教会の使用許可も取ってあるわ」
岩月愛
「母上様、我ら太田騎士団への御命令は?」
星川初
「忘れたの?愛ちゃん達の任務はいつだって、結を守る事よ。あなたも一緒に行ってあげなさい。どうしても戦力が必要になったら、その時に呼ぶわ」
岩月愛
「畏まりました!」
星川初
「でも、愛ちゃん達を苦戦させるなんて、敵さんも相当な手馴れね」
岩月愛
「はい。あれ程までに高き士気の方々と戦火を交えるのは、かつて岩付城にて母上様とお手合わせ頂いて以来、久しいのではないかと思います」
騎士道精神の塊である岩月愛にとって、強敵との勝負ほど名誉な事はない。
星川初
「うふふ、一体どんな子達なのか、会って見るのが楽しみね」