第23章 IF遙か3〜復活編4(薬師視点・骸)
「夢姫、覚えておきなさい」
「…なに、を?」
「こちらの世界にいる限り、あなたは僕の手の内です」
「……」
「勝手な行動は許しません。たとえ、ここにいない人間の為に流す涙の一粒でさえ」
「っ…」
首を手で絞めるようにつかまれ、力が入っていないというのに恐怖を感じる。
「それは、僕のものです」
防御の固有技を使おうか、一瞬だけ迷うも。
今すぐ彼が本気で私を害するとは思えなかったので、警戒はしたままただ目を逸らさずにいることに留めた。
今の言葉の真意はどこにあるのか…探ろうと考えたが、彼とは頭のできが違いすぎる。
「わかりましたね?」
「……」
わかりたくありません。いつもの癖で、そう言いそうになったお口をチャックして。
ここは刺激しないでおこうと、小さく頷いておいた。
それに満足そうな笑みを浮かべると骸さんの姿は霧のようにサア…と消えて、意識を失っているクロームさんだけが残った。
まだ起きそうにないクロームさんの体をそっと自分の上から退かして、強制的に仰向けになっていた体を起こし首をひねる。
「…いったい、なんだったんですかね」
骸さんがおかしいのはいつものことなんですけど、普段以上に変だったといいますか。
変態だったと言いますか………あああ、二回も奪われてしまった…!
日本人じゃないから大人っぽいけど、まだ骸さんってこちらで言えば余裕で子供な年齢なんですけど。未成年なんですけどっ。
私これでも大人なんですよ、見つかったら捕まりません?法律怖い。