第23章 IF遙か3〜復活編4(薬師視点・骸)
驚く必要なかった。
骸さんは今日も通常運転でした。
「あなたが泣くのが悪いんですよ」
「はい?」
「…僕の中で理解不能なことばかり起こして……すべてを乱し、引っ掻き回す存在…なんて厄介な」
「…そういう割に、最大限利用しているじゃないですか。私の中のあなたも大概、はた迷惑な存在なんですけど」
日頃の鬱憤も含めて言い返してやると、深いため息を吐かれた。
なんでですか?
ため息吐きたいの、こっちなんですけれど。
「あなたには、わからないでしょうね」
「なにがですか?」
「いえ、夢姫……あなたは、そのままでいなさい」
「え?」
「望みを叶えたければ、くれぐれも僕の機嫌を損ねないことです」
「……わかってますよ」
そんな、今さらなこと言われなくても。
大人げなくも、ぶすっと膨れてしまう。
そんな頬を骸さんはブニッと軽く引っ張ると、いつものようにクフフと笑いをこぼした。
「まだ夜明け前です、もう少し眠りなさい」
「…目が冴えちゃいましたよ」
これは、骸さんのせいでもありますからね。
「責任転嫁はやめなさい、あなたが目を覚ましたのは僕のせいではないでしょう…眠れないのなら、せめてその情けない顔をなんとかすることですね。とても長く見るに堪えません」
「そこまで言いますか」
まぁでも、たしかに。
久しぶりに思いきり泣きましたからね。
瞼が重たい…放っておいたら、酷い顔になるのは間違いありません。
「ああ、そろそろ時間切れです。まったく、貴重な時間と力を無駄にしてしまいました」
「いや、ほんと何で実体化までしたんですか」
「あなたがピィピィ煩いので、トドメを差しに」
「非道にもほどがあります」
どれだけ鬼畜なんですか!?
BASARAの力とか持ってますけど、これでも一般人なんてすよ。
もう少し手加減してくださいよ。
「それは褒め言葉と受け取っておきましょう」