第20章 IF遙か3〜復活編1(薬師視点・凪(クローム髑髏)・骸)
一瞬、本当にBASARAな世界へ戻ったのかと思いました。
一瞬だけ。
しかし。
何故か草原の真ん中に、ひとつだけ置いてある白いベッド。
これを目にして、すぐに諦めた。
だって。
まず病室にあるようなベッドが、いくらなんでもあちらの世界には無さそうですし。
生まれ育った現代にしたって、草原のど真ん中にぽつんとベッドが置いてあるとかおかしすぎる。
「どなたか、いらっしゃいませんかー?」
「誰?」
びっくりしました。
びっくりしました。
びっくりしました!!
駄目もとで叫んでみたら、すぐに返事がありましたよ。
久々に、ものすごく驚きました。
うるさくて仕方ないほど、ドクドクと大きく鳴っている心臓を押さえて、声のした方へ近づけば。
ベッドに隠れるようにしてしゃがみ、こちらをうかがっている可愛らしい黒髪の女の子がいるじゃありませんか。
「あ、あのー・・・勝手にお邪魔してしまって、申し訳ありません。ちょっと、おたずねしたいのですが・・・・・・ここはいったい、どこなんでしょうか?」
「・・・・・・あなた、誰?」
女の子は変わらず眉を下げたまま、ベッドからちょこんと顔だけのぞかせています。
どうやら私は警戒されているようです。
まぁ、仕方ないですけど・・・・・・・・・私って、そんなに怪しいですか?
ちょっと、軽くショックです。
「驚かせてしまい、本当にすみません。私は、その・・・・・・実は迷子と言いますか・・・気がついたら、こちらにいまして」
「・・・迷子?」
「はい。この歳にもなって、お恥ずかしいのですが・・・そのようです」
ああ、二十歳も過ぎて迷子だなんて・・・あまり言いたくない台詞です。
思わず苦笑いをしていると、女の子がゆっくり立ち上がり。
ベッドの向こう側から出て、こちらへ近づいてきた。
「私、もうすぐ消えるの。だから・・・いずれここも消える・・・」
「そう、なんですか・・・」
「・・・ごめんなさい。あなたがどうなるか、わからない」
「あ、いえっ・・・こちらこそ、答えづらいことを聞いてしまってすみません」