第18章 妬気持ち(薬師・政宗・小十郎・女中)
月に一度、伊達家の当主である政宗様は、ご自分の手料理を皆に振る舞うようで。
「Hey,夢姫。あんた、何が食いたい?」
「私、ですか?そうですねぇ・・・・・・うーん・・・・・・」
「そんなに悩むことですか?」
「あ、片倉様。では、片倉様なら何を食べたいと思いますか?」
「俺は政宗様の作られたものなら、何だろうとかまいません」
「Ha!嬉しいんだが、作り甲斐のねぇやつだな。まぁ考えておけよ、薬師殿」
「・・・はぁ、わかりました」
悩んだ薬師様は、城にいる女中たちの意見を聞いてみることにしました。
あれがいい、これがいい、そんなことを言っているうちに。
何故か話は、どんどんズレていき。
しまいには、色恋の話に花を咲かせておりました。
「わたしは政宗様の、鋭くも優しい瞳が好きだわ」
「成実殿の、あのかわいらしい微笑みといったら」
「あら、政宗様の笑顔だって負けてないわよ」
「ねぇ、薬師様はどう思います?」
「え、私は・・・えーと・・・・・・あ、好きとは違うのですけれど。片倉様の笑った姿は素敵だと思いますよ、普段の少し荒っぽくて怖い感じとのギャップ・・・差が良いと言いますか・・・・・・声もかっこいいですよね」
ちょうど近くを通りかかった政宗様、タイミング悪くも最後の薬師様の言葉だけが耳に入ったようで。
背後にはジェラシー・・・嫉妬という名の暗雲が、もくもくと立ち上ぼりはじめました。
「小十郎」
「はっ、何でしょうか」
「お前・・・今晩、飯抜き」
「!?」
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薬師さんは、べつに小十郎さんが好みというわけではなく、ただ派閥争いに巻き込まれない為に名前が出ていない人を褒めてみただけだったり。
政宗がこんな子供っぽいヤキモチやいたら可愛いと思います。