第16章 -天使って本当にいるんだね-
お昼休憩を挟み、午後の練習が開始された。
そしてコートから何故か氷帝コールと跡部コールが……。
次は跡部の試合なのか……てか派手過ぎじゃね!?コートの中心で手を上げて指パッチンとか……
どんだけ派手好きなんだ氷帝は。その上恥ずかしいセリフ言っちゃってるし。
立海よりも氷帝の方が変人率が多いっていうことは分かった。
とりあえず、またドリンクでも作ってこよう。
……はて、私は部室に行こうとしてただけなんだけど、芝生の上に青年が転がっていた。もしや殺人事件!?
「ぐー……」
なんだ、寝てるだけか。ジャージ着てるし、テニス部の人だよね。金髪だけど不良じゃないよね。
「おーい、こんな所で寝てると跡部に怒られるよ?」
「ぐー……んぅ?」
んぅ?って、なんて可愛らしい声を出すんだこの人!
「ん~……誰だC~」
だるそうに目を擦って起き上がる。
何この人……めちゃくちゃ可愛いんですけど!不良とか思ってごめん!
「私練習試合をしにきた立海の者なんだけど」
「ふーん……」
「って、寝るなぁ!」
確かに寝る子は育つって言うけどこれ以上成長してどうするんだ!
「まだ眠いC~……どうせ後で樺地が起こしにくるからまだ寝れるC~」
そう言ってまた寝息を立てる金髪天使。もういいや……なんか樺地っていう人が起こしに来るらしいからドリンク作ろう。
──と思って踵を返した瞬間。
「……………………ウス」
「ひぎゃああああああ!」
でっかい人がいた。一瞬壁かと思ったけどちゃんと顔が付いてるから人だよね?つーかもうぬり壁でよくね?
「…………ウス」
なにこの人。ウスしか喋れないの?
「もうびっくりさせないでよ……」
「……ウス。……スミマ、セン」
あ、喋れてる。
もしかしてこの人、金髪君が言ってた……
「君が樺地君?」
「…………ウス」
それは肯定で良いんだよね?
すると樺地君は金髪君を俵担ぎしてコートへと向かった。
……さて、私もコート行こう。