第4章 帰宅
……あれ……ここは……。
そうだ……寝てたんだ……。
体を起こしてぼーっとしていると視界がクリアになってきた。
なんだかずいぶんと寝た気がする。
窓に差し込む光の角度が変わっていて時間の経過を示していた。夕方というほどではないがお昼はすでに過ぎている。
夕方には帰る予定なので時間を無駄にしてしまったように感じた。
ベッドから降りてリビングに行くとルークがいて今朝と同じだなとふと思った。
目を覚ますと愛しの人がいる。なんて幸せだろう。
「あ、起きたんだね」
「ルークとの時間無駄にしちゃったかな……」
「そんなことないさ。僕は同じ屋根の下にいるだけでも幸せなんだよ。だから、そんなこと言わないで」
ルークが優しく頭を撫でてくれた。
「エマの寝顔を眺められるなんて良い時間だったよ。そうだ。これから村を案内したいんだけどどうかな?」
行きたいと即答した。
ルークのことやルークが住む村のことをもっと知りたい。そして一緒に出かけられることがうれしい。
すぐに服を着替えたり髪を櫛でといたりして身だしなみを整え、出かける準備をした。
「じゃあ行こうか」
たわいもない話をしながらルークの横を歩いていく。
時折エマの住む街では見かけない植物や動物を見かけてはルークに教えてもらう。
「わあ。こんな青色の花見たことないよ」
「それは消耗した魔力を回復させる効果がある花なんだけど、あまり美味しくないんだ」
本来は観光するような場所ではないのだろう。
この村に住む魔族の家が点々とあって、畑や鉢に植物が植えてあるだけだ。
しかしエマの住む街とは違う風景が広がっていて面白く感じた。
それからもしばらく歩いて村の様子を見ていた。