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彼の魔法はよく効きます【R-18】

第1章 初めての夜


本を読むのが好きで人と関わるのが苦手な私は静かな森で一人で読書をするのが日課だった。
その日も読書のために森を訪れていた。
森といっても街からはそんなに離れていない場所だったので完全に油断していた。
野生動物と鉢合わせしてしまったのだ。
突然現れた私に驚いた動物は私に向かって突進してきて私は吹き飛ばされてしまった。
不幸中の幸いか動物の視界から外れた私はそれ以上襲われることはなかった。
横腹に激痛が走り、肩や腕には痺れるような痛みを感じる。
服には血が滲んでいて大怪我をしていることは一目瞭然だった。

「大丈夫?」

急に声をかけられて身体がビクッとなる。
足音なんて聞こえなかったのに大きな影がどこからか現れて声をかけてきたのだ。
痛みと驚きで声が出ず返事はできなかったがその人は気にせず私のそばにやってきた。

「手当てするからじっとしてて」

彼が私の横腹や肩に軽く手を当てると痛みが引いていく。

「だいぶ汚れているね。うちで洗おう」

そう言って私は抱きかかえられた瞬間気づけば私が住む街とは趣の違う家が建つ初めて見る場所にいた。
そのまま目の前に建っている家に入りソファへと降ろされた。

「だいぶ驚いた顔をしているね。僕は魔族なんだ。名前はルーク。君は?」

「エマです……」

理解を超えた事を立て続けに見せられて混乱したままなんとか名前だけを名乗った。
このあとルークは私にシャワーを貸してくれて、その間に血と土で汚れた服を洗い魔法で乾かしてすぐに着れるようにしてくれた。
そして来た時と同じように瞬間的に私が怪我をした場所まで連れて来てくれた。
別れる直前、お礼をしたくてもう一度会う約束をしてもらった。
約束の日にお礼の品を渡すだけではいけないと思い少し話してみると私とルークは気が合うことがわかった。
それからというもの、私たちは何度も合う約束をしては森の中で密会をした。
私は人と関わるのは苦手だったがルークとは一緒にいたいと思えた。
いつしか恋心を抱くようになっていたのだ。
ルークもまた、私を大切に思ってくれていて、ルークの方から告白してくれた。
こうして私たちは付き合うことになった。

ある日ルークから家に泊まらないかと誘われ泊まることになった。
その日から私はーー。
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