【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集
第10章 ★サンタクロース (月島 蛍)
「私が…思ってたのと違うんだけど。」
和奏が赤と白の布を目の前に広げて呆然としている。
「2人でクリスマスのお祝いするから、僕にサンタの衣装を用意してこいって言ったのは和奏だよね?」
和奏の手に握られているのはディスカウントストアで売っているペラペラのサンタクロースの衣装だ。
「私はトナカイのカチューシャ用意してたもん!サンタは蛍が着る用に…って意味だったのに。」
彼女の和奏にクリスマスは家族も居ないし、家で2人でお祝いしようと言われたのは数週間前。
そんな美味しいお誘いを断るわけないのだけど、その時和奏が出した条件が、「サンタクロースの衣装を用意してくる事」だった。
もちろん、和奏が僕にバカみたいにダサい真っ赤な衣装を着せようという魂胆なのは伝わっていたんだけど…冷静に考えなよ?
僕がそんなの着るわけないでしょ。
その場では大人しく頷いておいて、和奏のご要望通りサンタクロースの衣装を用意した。
女の子用の真っ赤なサンタクロースの衣装。
売り場に並んでたやつの中で、一番スカートの短いやつ。
「ねぇ和奏?僕がこれを買ってくるの…どれだけ恥ずかしかったと思ってるの?まさか着ないとか言わないよね?」
うっ…と言葉を詰まらせた後に、諦めたように着替えて来ると言い残し、和奏が別室へ去っていく。
確かに男がこれを購入しているのはレジの人には異様に思われたかもしれない…。
けど、和奏のサンタクロース姿を見る為なら、そんな赤の他人の視線なんて、どうって事ない。