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【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集

第2章 変人トリオ (日向 翔陽&影山 飛雄)


ポーンっと、影山君の頭上に山なりにボールを投げれば、音がしないほど静かで正確なトスの後に、日向が目を見張るほどジャンプして、向こうのコートに叩きつける。

あぁ…綺麗だな。

そう思った時に、ふいに涙が出た。
このままじゃダメだ。そう思ったから。

「なっ!和奏!?」

「何泣いてんだよ!?」

先に駆け付けた影山君が私を後ろからギュッと抱きしめる。

「あっ、影山ずりぃぞ。」

そう言うと前に回り込んだ日向が私の頬を手のひらで覆う。

凄く温かい。

「もう…やめたい。私、そもそも3人で付き合うなんて言ってない。」

涙まじりにそう告げると、目の前の日向が悲しい顔をする。

「俺たちの事…嫌いになったのか?」

嫌いに…?
ここ1ヶ月は以前よりも2人といる時間が増えた。
日向の真っ直ぐな気持ちを、影山君のわかりづらいけど愛情溢れる気持ちを、前よりも2人を知って、嫌いになる事なんて出来るはずない。

「違う…の。私、日向の事も、影山君の事も好き。どんどん好きになってる。でも、そんなの普通じゃないし…これから先、どちらかを選ぶなんて…出来るかわからない。だから…。」

「普通じゃないと、駄目なのか?」

耳元で影山君が喋る。

「俺と日向がそれで良いって言ってるんだ。他の誰かが普通じゃないって和奏の事を責めたって、俺たちが守るから。」

「俺、和奏が居ないと嫌だよ。和奏がこれから影山なんかより俺の事を迷わず選べるように、もっともっと頑張るから。だから、それまで一緒に居てくれよ。なっ?」

日向がニッと笑う顔を見たら、また涙が溢れてきた。

本当にいいんだろうか?
こんな優柔不断な私で…。
でも、2人が許してくれるなら、もう少しこのままで…。

「ありがとう、翔陽。飛雄。」

初めて下の名前で呼べば、わかりやすく顔を真っ赤にする翔陽と飛雄。

「よ…よし!影山!和奏のファーストキスをかけて勝負だ!!」

「誰がお前に譲るか、ボゲェ。」

ボールを持って走っていく2人の姿に笑いが漏れる。

いつか2人のうち、どちらかを選ぶ日が来るかもしれない。
でもその日までは…変人トリオでもいいよね?

end.
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