第9章 白鳥、舞い戻る
牛島たちが東京から帰ってきた。
二回戦敗退の瞬間はみんなでテレビ観戦していたからリアルタイムで知っている。みんなそれぞれ男バレの仲良いメンバーにLINEを送ったりしていたようだけど、私は牛島に何も送れなかった。
牛島がずっと頑張っていたのは知っているし、その上で負けてしまったのだからこれ以上なんて言葉を掛けていいのか分からない。…それでも何か言ったほうが良かったのだろうか。
いや、それよりも私は牛島に伝えなきゃいけないことがある。
合宿のあの日から私は天童くんと一緒に帰るのをやめた。こんな気持ちを抱えたまま天童くんと過ごすのは無理だったし、天童くんにもいい加減失礼だ。天童くんにも早く伝えなきゃいけないんだけど、キッカケがなくてモヤモヤとした日々を送っていた。
でも今日、牛島が帰ってくる。
私はスマホを取り出して牛島に連絡する。
『話したいことがあります。今日時間もらえないかな?』
部活前の準備中、ソワソワと返事を待つ…。
そして数分経ったところで牛島から返事がきた。
『俺も話したいことがある。今日は男バレは軽い練習で終わるから、部活後に男子の体育館に来てくれ。一緒に帰ろう』
意外すぎる返信に心臓がバクバクする。それでももう逃げたくない。ちゃんと伝えて、それで終わりにしたい。
震える指先で牛島に返事を返す。どうやって話を切り出そう?天童くんとラブラブに付き合っている私を牛島は知っているし、今でもそうだと思ってるわけで。気持ちを伝えたところで信じてくれるのかな。
いやいやマイナス思考だめだ、牛島は人の話はちゃんと聞いてくれる…って分かってるけど、この緊張とれそうにもない。
部活がもうすぐ始まりそうだったので、私はスマホをしまった。だから気付かなかった。また牛島からメッセージが入っていたことに。
『ずっとお前に会いたかった』