第7章 行かないで、東京
合同合宿も無事に行程を終了し、インターハイ予選が始まった。
私達女子バレー部は決勝戦で敗退。県大会では準優勝という輝かしい成績を残したが、やはりあと一歩で全国に行けたという思いから、誰一人満足している者はいなかった。男バレが全国に駒を進めたから尚更だ。
実は合宿中にくっついたカップルも多くて、合同合宿ってスゴイな…!と思っているここ最近だ。天童くんが髪をおろした姿が結構目撃されていて、女バレ2年生の先輩はなんと天童くんに告白したらしい…。私の存在って一体…
「…牛島がチューねえ……」
体育館内が地獄の暑さのため、午前2回目の休憩中。水道前でリカコと涼みながら合宿の時の話をしていた。
「あのクソ真面目男がよくそんなに動いたじゃん。天童もいるのに」
「…感心しないでよ。私はパニックだったんだから」
「あー…だから練習試合メチャクチャだったのか」
うっ…ごめんリカコキャプテン…!そこだけはマジで反省している。
「なつみは公式試合だったらちゃんとしてるから、普段は別にグダグダでもいいよ。それに合宿中に彼氏いる女にチューする奴が一番悪い」
「……そうですね」
「大体さぁ、それで牛島は何がしたかったわけ?聞きたいのに東京行っちゃってるじゃん!!!」
「…だから本人に聞くのやめてよ」
今は試合が始まっている頃だろうか。一年生唯一のレギュラー入りで、牛島にとっては高校初の全国大会。がんがんスパイク決めているんだろうなぁ…
「ちょっとリカコ!なつみ!学園新聞見たぁ!?」
チームメイトが水道前までやってきていきなり大声で話し掛けてくる。
「え、何どしたの?」
「牛島くんとあのマネ付き合ってるらしいよ!ちょ、あっちに新聞掲示してあるから見に行こ!」
チームメイトに引っ張られてリカコと私は体育館近くの掲示板まで行くことになった。そこには確かに学園新聞が張り出されていて、バレー部のことが大きく書いてある。メインの記事はこの間の合宿内容だったが、小さく『バレー部公式カップル特集!』というコーナーがある。
「…はあー…なつみと天童も載ってるじゃん…」
…本当だ。写真はないけどヒッソリと載っている。そう、写真があるのは…