【YOI】ほろ苦く、そして甘い予感【男主&ユーリ】
第3章 再会と甘い予感
画面に映る文字だけでも、そこに含まれた礼之の真剣な想いが、今のユーリには何故か手に取るように判ってしまう。
『お互い食べ終える頃には、きっとワールドで会ってるかも知れないね。だから、それまでにある程度覚悟しておいて』
『何だよ、覚悟って。俺は、簡単にお前に負けてやる気なんてねぇぞ』
『昨夜、僕がちょっと身体触っただけで怯えてたのに?』
『うるせえ!この世界一ふしだらな国出身のエロ侍が!』
『スオミの皆が皆、フリーセックス推奨してるような言い方しないでよ。それに、僕は日本人だ』
『だったら尚更だ!知ってんだぞ、日本じゃ18歳になってからじゃねぇと、色々条例に引っかかるって!』
ピーテルに留学している純の大学時代の後輩に日本語を習っているユーリは、勉強に加えて彼から日本のサブカルや俗っぽい話も教えて貰っていた。
普通に口論をするよりも疲労感を覚え始めたユーリの元へ、忌々しいまでにポン、と明るいメッセージの着信音が鳴った。
『何だか、僕が思ってた以上にユリって可愛かったんだね。次に会うのが凄く楽しみだよ』
両手でスマホを挟み込みながら、怒りとそれ以上の羞恥で全身を震わせたユーリは、乱暴な手つきで『せいぜい俺に倒される為に腕磨いてろ!じゃあな!』と半ば強引に会話を打ち切ると、テーブルの上に鎮座したキスチョコの袋をひと睨みする。
「バッカじゃねぇのか!?所詮ただのチョコだろうが!こんなんでこの俺が動じるとでも…!」
勢い任せに包みの1つを腹立ち紛れに口中へ放り込んだユーリだったが、舌先に甘みを感じた瞬間、脳裏に礼之との出来事が蘇ってきた。
アクシデントから始まったキスと、EXでの演技を通した礼之からユーリへの想い。
そして、あのバンケの夜に交わした口づけは、認めたくはないけれどとても甘やかで──
「…はっ!?」
礼之の強引だが優しい抱擁とキスが頭から離れなくなってしまったユーリは、弾かれたようにチョコの包みをリュックに仕舞い込むと、機内放送の音楽番組をつける。
すると何の偶然か、礼之がEXで使用した曲が流れ始めたので、慌ててスイッチを切った。
「お飲み物のおかわりは如何ですか?」
乗務員から声を掛けられたユーリは、「ブラックのコーヒーをくれ」と返すと、頬を染めたまま深く息を吐いた。