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【YOI】ほろ苦く、そして甘い予感【男主&ユーリ】

第3章 再会と甘い予感


翌日。
ロシアへ戻るユーリを礼之と純、そして勇利とヴィクトルが見送りに空港まで同行していた。
「礼之は、東京に戻らねぇのか?」
「この後純さんと食事してから、新幹線で帰るよ。窓側の席取ったから、富士山見るの楽しみ!」
「東京方面は、静岡過ぎて5分が狙い目やからな」
いつかの鉄男ぶりを覗かせた純にユーリは苦笑する。
「気を付けてねユリオ。またファイナルで会おう」
「おう。もう昨シーズンまでの俺じゃねぇから、首洗って待ってろよ」
今では僅かに長身になったユーリが勇利と見つめ合うのを、礼之はほんの少しだけ羨望と嫉妬を込めて眺める。
そんな礼之の様子に気付いた純が「ユリオくんと約束したんやろ?まずは全日本やで」と耳打ちすると、礼之は思い直したように頷きを返した。
そして、自分のリュックからファンシーなビニール袋を2つ取り出すと、その内の1つをユーリに差し出す。
「何だコレ?」
「さっき、ビル内のショップで可愛かったから買ったんだ。ユリにも1つ上げる」
「お?おぅ、サンキュ」
袋に書かれた文字から、スイーツショップのものらしい。
大方手軽に摘める菓子だろうと思いながら、ユーリは礼を言って受け取った。
「ファイナルで戦えないのは残念だけど、所詮これが今の僕の実力。その代わり、絶対にワールド行くから」
「ああ、楽しみに待ってるぜ」
「本当?僕、頑張るよ!」
心の底から嬉しそうに笑った礼之につられて、ユーリも口元を綻ばせていると、礼之がこちらへ歩み寄ってきた。
「どうした?」
「また、キスをしようね。きっと、ユリとは直ぐに出来る気がする」
「な…あ、あんなの表彰台の上でするモンじゃねぇだろ!」
「え?表彰台以外でのキスの事考えてたの?やらしー♪」
礼之のしてやったりといった顔が憎らしくて、ユーリは久々に脚を振り上げると、彼の靴を軽く踏みつける。
「何するんだよ!」
「うるせえ!ガチでやらなかっただけ有難く思え!」
「確かに、昔に比べてユリオ随分マシになったよね」
「うん、俺の腰に全力でお見舞いしてくれた頃とは雲泥の差だ」
「…お前らも、頼むから今は黙ってろ」
勇利とヴィクトルにかつての悪童ぶりを仄めかされたユーリは、羞恥から小声で呟いた。
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