第2章 私の夢はあなた次第
「な、なんで…っ?これ婚約指輪だよ?」
「知ってるさ、おれはななしちゃんにぴったりだと思ったんだけど違った?」
「え、で、でもサンジくんは私のことなんて…」
「おれはずっとななしちゃんが好きだよ、今までももちろんこれからも」
「一回もそんな事言ってくれなかったじゃん…っ」
先程とは違って優しく笑うサンジくんがゆらりと揺らぎ出す。目から一つ雫が落ちるのを皮切りに、ぽろぽろと両目から涙が流れ出した。服の袖で拭っても拭ってもそれは止まらない。
「ななしちゃんか可愛いからいじわるしたくなってな、ごめんごめん」
サンジくんはハンカチを取り出して私の頬を流れる涙をそっと優しく拭うと、ゆっくりと身体を引き寄せて逞しい腕でぎゅっと包み込んだ。
「…私の気持ち知ってたの?」
「あれだけアプローチしててくれれば気付くさ、でもおれもずっとアプローチしてたんだぜ?」
「嘘?!」
「本当、でもなかなか気付いてくれねェからななしちゃんから言ってくれるまで待ってたんだ」
ぽんぽんと頭を撫でながら話をするサンジくんの胸からはドクドクと少し早い鼓動が聞こえてくる。きっと私の方が早いだろうけどとても心地良い。私は一度目を閉じると意を決して抱きしめられたまま口を開いた。
「サンジくん」
「ん?」
撫でられていた手が止められてサンジくんが私の顔を覗き込む。サンジくんとばちっと目が合い、思わず開いた口を閉じて息を飲んだが再び口を開いた。
「す、好き…」
「おれも好きだよ」
お互いの夢の先に
「ななしちゃんの夢叶っちまったな」
「本当に私でいいの?」
「絶対離さねェから安心してていいよ」
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