第23章 キミ色
クロが帰る支度を終えると、一緒に玄関まで向かった。
「またね、クロ」
「あぁ、またな」
クロはそう言うと、私の頭をぽんぽんといつもみたいに優しく叩いてくれる。
「ねぇクロ、こんなの私のワガママだから、聞いてくれなくてもいいんだけど。…私はクロのことを嫌いになった訳じゃなくて、もちろん好きなの。…だから、私は別れたいとか思ってないよ。だけど、もしクロが別れたいって思ったらいつでも言って。
…突き放したのは私なのに、ごめんね」
本当にワガママだよ。
最後までこんなんで、クロの中の私ってもう最悪代表みたいになってるでしょ。
それなのに、クロは私のことをぎゅっと抱きしめてくれる。
「ワガママでこその綾菜ダロ?お前のワガママとか、もう慣れてるし。…まぁ、ちょうどオレも受験控えてるし。お互いにこんな相手と続けてるのはもう無理って感じじゃねぇだろ?だから、気にすんな。…俺が受験終わって、そん時にまだお互いを想ってたら、また1からでもいいから、一緒にいよう。…次は0からじゃねぇし、な?」
ダメだ、なんでこんなに優しいの。…こんなことされたら、さっきのは嘘って、まだ一緒にいようって、言ってしまう。
「泣くなよ、今回のは俺が悪かったから、自分のことは責めないで。綾菜はなにも、悪くないからな」
「最後まで、こんなんでごめん…。受験、頑張ってね。」
「ありがとな。じゃあ、また今度。」
私はクロのその言葉を耳に入れて、手を振ると、クロは笑いながら家を出て行った。