第20章 音駒高校学園祭!
いくら歩いてもゴールにはたどり着かないで、心拍数だけがどんどん上がっていく。
そんな時、突然足を触られた。
「ひっ……木葉さん、まって…」
私は思わず隣にいる木葉さんに助けを求めてしまう。
私の足を触っているのはちゃんとした人間、というのは分かってるけど、…分かってるんだけどやっぱり怖い。
「大丈夫か?リタイアできるみたいだけど、どうする?出るか?」
「迷惑じゃなければお願いします。」
「迷惑なわけねぇじゃん。ホレ、手繋いでいいぞ。」
「ありがとうございます…。」
そう言いながら木葉さんの手を握り、木葉さんの後ろを歩いていく。
今歩いていた通路を真っ直ぐ進むと、木葉さんはロッカーを開けた。
すると、中からスタッフが出てきてリタイアですか?と、聞いてくれた。
私たちが頷くと近くにある出口から私たちを外に出してくれた。
「ありがとうございます」
スタッフの方にお礼をすると、にこやかに笑いながら、また中に戻った。
スタッフがいなくなると、木葉さんに声をかけられる。
「怖いなら最初から言えよ?無理して頑張る必要ねぇからな」
「はい、今回は本当にありがとうございます。」
私が木葉さんに言葉を返すと、細い目をさらに細めて私に言った。
「このことは、黒尾に内緒にしとくな」
そう言いながら口元に人差し指だけを当てた。
「助かります。…あ、でも言ってもいいですよ。そのうちバレそうですし」
「あー、黒尾だもんな。アイツに隠しごとはしたくねぇわな。」
「ですよね、隠しても絶対バレますもんね。」
私たちは他の人が出てくるのを雑談しながら待っていると、とつぜん肩をポン、と触られた。
…この手の大きさは、もしかて………