第19章 手のひら合わせて。
「…今日、学校に向かう時に友達に聞いたんです。
黒尾先輩の付き合う理由を。」
「…理由…?」
聞きたくない…けど、気になっちゃう…。
ぎゅっと手を握り、ミカちゃんの言葉を待つ。
「黒尾先輩は性欲を発散するためなんです。きっとセンパイ以外にも彼女さんいると思いますよ。
だって、センパイはただ綺麗なだけで他は何もないじゃないですか。
笑顔も少ないし、喋り方も可愛らしくない。その上、声だって可愛いって言うほどでもないし。
きっと、顔だけしか見てないですよ」
…そう、なのかな?
確かに私は表情も豊かではないし、喋り方も冷たい。
こんな私を本気で好きになるわけないよね…。
分かってる。…分かってるよ。
前だってエマさんとは好きじゃないのに付き合ってたもんね。
私が、勝手にクロを神聖化してて、クロは私だけを好きでいてくれてるって自惚れてただけだよね。
「ごめん、1人にさせて」
「じゃあまた午後に会いましょうね」
私とは違い、楽しそうな声音でどこかへ向かって行った。