第19章 手のひら合わせて。
いつも通り部活に行き、いつも通り1人で帰ろうとしていたら、綺麗な声の女性に声をかけられる。
「センパーイ、一緒に帰りましょー?」
と。
あ、この子は同じ部活で同じパートの、ミカちゃん。
正直、私と気が合うタイプじゃないと思うんだけど…。
話しかけられるってことは、なにかした?
だけど、この子のいうことはものすごくとんでもなくて。
「センパイって黒尾先輩と付き合ってるんですね」
そう言って、ニコニコと笑うミカちゃん。
付き合ってるんですか?
ではなくて、付き合ってるんですね。って、言いきれちゃうあたり、流石だなと思いつつ、私は返事を返した。
「なんで?」
「だって、黒尾先輩とセンパイがキスしてるところ見ちゃいましたもん。」
「そっか。」
できるだけ、感情を抑えて発したけど頭の中はパニック状態。
すると、ミカちゃんは、もっとパニックになるようなことを言ってきた。
「なんでこんなつまらないセンパイと付き合ってるんだろう…。
私の方が黒尾先輩を楽しませる自信あるのに…。
別れてくださいよ、迷惑です。
私、黒尾先輩のこと好きなんだけどなぁ…」
なんでだろう
返事を、返せない。