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恋に落ちる瞬間は(仮)[ONE PIECE/サンジ]

第1章 貴方と出会った、その刹那




「ガハハ!じゃーな!サーシャ!」

「また来てくださいね!帰り道気をつけて!」


夜も更け、まん丸な月がちょうど頭上に差し掛かった頃、最後のお客さんを店先まで見送ると私は満点の星が広がる空へと視線を送る。今日1日天気が良いにも関わらず、ずっと風が騒がしく落ち着かなかった。他の人にはわからない私だけがわかる風の知らせ。


「こんなの初めてだなぁ…」


胸騒ぎがするが原因がわからない。グランドラインを超えた所にあるこの村に来て早5年経つが、こんな感じは初めてだ。ドクドクといつもより早く鼓動を続ける心臓を掴むように服を右手で握りしめ、私は店の中へと足を進めようとしたその瞬間、大きな音と爆風が私を襲った。パラパラと小石が落ちる音がして目を開けると先程まであった筈の店がなくなってた。いや、正しくは破壊していた。ほぼ原型も、跡形もなく。


「…え?一体何が…」


急な展開に頭がついていかず、私はその場に力なく座り込む。

さっきまで村のみんながいて、今日はこんなことがあった、あんなことがあったとわいわい楽しく賑わっていたのに…

呆然と店を見つめていると、崩れた瓦礫の一部がガタガタと動き始める。


「ひっ…!」

「び、びっくりしたー!」


ニョキッと両腕が見えたかと思えば素っ頓狂な声がし、麦わら帽子を被った人が姿を表した。帽子の存在を右手で確認し、ほこりを払うとキョロキョロと辺りを見渡す。そうしている内にその場を動けずにいる私と目が合った。


「お、お前ー!ここどこだー?」


勢いよく立ち上がると麦わら帽子の人がこちらに向かってずんずんと歩いて来た。それに合わせて私は座ったまま後退りをして、距離を取る。とりあえずよくわからないこの状況から抜け出したかった。


「おい、どうしたんだー?」


ずりずりと後退りをしているとこちらに向かって何かが猛スピードで近づいてくる音が聞こえた。何でもいい、誰か助けてと懇願するように視線をそちらに移すと、目の前を黒い何かが横切った。


「こン…ッの野郎!レディ何してんだァ!」

「 サン…ブホッ!!」


麦わら帽子の人が衝撃をくらい、飛んでいくのを目で追うと同時に右側から肩を引き寄せられ、ふわりとムスクの香りと煙草の匂いが鼻腔をくすぐった。








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