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第13章 その勇姿を焼き付けて[煉獄杏寿郎]


「本当にすまない…。雪音、どうか炎柱となって俺の意志を継いでいってくれ。君なら炎柱になれるだろう」
「わかってます…!私は貴方の…煉獄杏寿郎の継子、だもの…。絶対に炎柱を継いでみせます…!!」
「うむ…それでこそ俺の継子だ。――なぁ雪音。最後に…俺のわがままを聞いてくれるか」
「なんでしょうか…?」
「君からの口付けが欲しい。俺はこの状態だから抱きしめてやることも、口付けを返してやることも出来ないが…。最後に愛した君だからこそ、俺は君を望む」
「わかり、ました…。杏寿郎さん、私が炎柱として貴方の意志を繋いでいく姿…空から見ていてくださいね…」
「嗚呼、約束しよう。愛しているよ雪音」
「――愛しています杏寿郎さん」
そして互いのそれが触れ、炎柱 煉獄杏寿郎は愛する少女越しに母の姿を見、ゆっくりと瞳を閉じ…その生を終えた。最後にみせた表情は、満足そうな優しい笑みだった。

――母上、俺はちゃんとやれただろうか。やるべきこと、果たすべきことを全うできましたか?…愛しい少女の心を護ることが出来たでしょうか?

――立派に出来ましたよ。

暖かな一陣の風が吹き、悲しき2人の想いをさらっていく。
誇り高く生き抜き、最後に約二百名という多くの人々を守った炎柱 煉獄杏寿郎。
彼が残した確かな意志は、今後も多くの者の心に残り紡がれていくことだろう。
傷つき、打ちのめされたとしても私達は前へと進むしかない。それが、煉獄杏寿郎という人が私たちへと託した思いならば。

杏寿郎さん、今までありがとうございました。どうか…貴方の思いを胸に前へ進む私たちを見守っていてください――。
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