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第12章 穏やかな時間[煉獄杏寿郎]


とある日の昼下がり。
炎柱の邸宅の縁側で暖かな陽射しを浴びながらのんびりと時間を過ごす。
元々は雨柱だった私は、炎柱の煉獄杏寿郎さんと結婚し鬼殺隊を引退した。
しかし、ただ引退したのでは無い。有事の際は、再び雨柱として限定復帰するという条件で、だ。御館様はお優しい方だからそんな条件は出さなくていいと仰ってくれたが、ただでさえ平隊士達の質が下がっている事が問題視されている中、理由はどうあれ柱がひとつかけてしまうのは痛い。
そう考え、これは旦那様となる杏寿郎さんと前もって話し合っていたのだ。
杏寿郎さんも終始あまりいい顔はしていなかった。愛しい人や大切な仲間たちが危険な目にあっている中じっとしているなんて出来ないと伝えれば、私の性格を理解してか最後は諦めたように優しく微笑んで渋々許してくれた。
「雪音、ここにいたか」
「あら、杏寿郎さん」
呼ばれた声に振り向けば、そこには愛しい旦那様がいた。うん、本日も燃える炎のような髪が眩しい。
隣に座った彼の肩へと軽くもたれるように寄り添う。
「今日は甘えただな!」
「うーん、何となくね」
そういいながらも私の肩を抱いてくれる彼の大きな手が私は大好きだ。
私たちが出会ってから幾度となくこの大きな手に守られてきた。彼が持つ確かな信念は、まさに守護者というにふさわしいものと思う。
「ねぇ杏寿郎さん」
「なんだ?」
「私、貴方と結婚出来て幸せだわ」
「雪音…」
出会った頃は、まさかこの人と結婚するなどと思わなかったものだ。本当に全く。
私は雨、杏寿郎さんは炎の使い手。最初の頃は柱だからと、無茶な戦い方をよくしていた私。それを見兼ねた杏寿郎さんが、いつか本当に取り返しのつかないことになると注意してくれたりもした。
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