• テキストサイズ

短・中編集

第11章 不器用な優しさ[不死川実弥]


刀鍛冶の里での襲撃事件が終わった後のこと。
那田蜘蛛山での任務で現在の隊士達の弱さを痛感した上層部達は、柱稽古という全隊士が対象となる合同強化訓練が開始された。
私は柱候補であることから、参加は絶対ではあるものの好きなところで稽古をやっていいとのお許しがでた。さすが御館様、分かっていらっしゃる。
ということで、私は居候先でもある風柱こと不死川実弥さんのところで稽古を開始したのだが…。
最初のうちはよかったのだが、例の鬼の妹を連れた隊士 竈門炭治郎が稽古に来て一悶着起こってしまったらしい。
らしい、というのも戸を突き破って外に転がり出てきた炭治郎くんと玄弥くんに驚き、不死川さんを見ると視線だけで人を殺せそうな形相になっていた為に、私は炭治郎くんそっちのけで不死川さんを抑えにかかった。この2人は水と油だなと思ったのは言うまでもない。
そして詳細を知りたく夕餉を食べながら質問してみた。
「不死川さん、昼間一体何があったんですか?」
「あ"ァ"?テメェには関係ねぇだろ」
(恐らくは弟くん絡みだとは思うけど…。あれからずーっとイライラしてるみたいでいつもより顔つき怖いんだけど)
普段から「俺に弟なんざいねぇ」なんて言ってるほどだから、過去に何かあったんだろう。兄弟の仲をここまでズタズタにしてしまった何かが。
…まぁ、昼の様子だと兄弟だと思っていないのはこの兄の方だけで、弟である玄弥くんはちゃんと彼を兄として見てる感じだったけれど。
「あ、私は先に食器洗っておくんでお風呂入っちゃってくださいね」
私の言葉には特に返答せず、無言で居間を後にした。
(これは相当プッツンきてらっしゃるな…)
去っていく背を見つめながら、私は深いため息をこぼした。
/ 91ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp