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第1章 少女の悩み[浮竹十四郎]


他の隊員が出払っているため自分の分だけ茶を入れ、縁側で1人暖かいお茶をすする。
少し前までは一番隊舎の縁側で山じいとこうして過ごしていたのが懐かしい。
吹き抜ける風が心地よく、長時間の書類業務で疲れていたのかやがてウトウトと雪音は瞼を閉じた。

雪音がうたた寝を始めて十数分後、十一番隊舎に珍しい来客が来ていた。
「更木隊長ー!更木隊長はいるかー!」
来客の白羽織の背には「十三」の文字。…そう、来客というのは十三番隊隊長浮竹十四郎だ。
しかし、今は十一番隊の隊員は出払っており残っているのは雪音のみ。そしてその雪音も、今は夢の中で返事をする者はいない。
「おかしいな…。雪音か誰かしらはいると思ったんだが…」
何も返答のないことに疑問を持ち、縁側の方へ回ると目的の人物がいることに気づいた。
「なんだ、雪音いたんじゃないか」
俯いている雪音に近づき、顔をのぞき込むとその双眸は緩く閉じられ、まだ幼さの残る寝顔がそこにはあった。
「…寝ていたのか。雪音、そんなところで寝ていたら風邪ひくぞ」
自分が言えたことではないが、愛しい恋人に風邪をひかれてはやはり心配になってしまう。
少しばかり方をゆするも、それだけでは起きる気配のしない雪音。浮竹は雪音の隣に座り、彼女の方を抱き寄せて白羽織を自分と彼女の肩にかけた。
(すこし痩せたか…?手も墨で汚れているし…)
最初こそ反対だった。隊の移動を受け入れた京楽にもなぜ許可したと怒ったこともあった。しかし、総隊長命令という事と雪音の意思でもあるということで渋々それを受け入れざるを得なかった。
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