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第1章 少女の悩み[浮竹十四郎]


尸魂界 瀞霊廷十一番隊舎の一室で少女は盛大なため息をついていた。
「はぁぁぁ…なんでこんなに戦闘狂ばっかり集まってるのよこの隊は…」
少女…天霧雪音はそんなことをぼやきながらも、書類に筆を走らせる手は休めずに仕上げていく。
(こんなんじゃ彼に会いに行く暇が全くないじゃない!!)
十一番隊、更木剣八の隊は隊員はほぼほぼ男のみ。それも書類嫌いの戦闘バカが殆ど。そうなれば自然と手付かずの書類が溜まる一方となり、見兼ねた総隊長が副隊長とは別に隊長補佐として1人他隊員から選出した。
そこで白羽の矢がたったのが、総隊長のお気に入りであり祖父のように総隊長を慕っていた雪音だったのだ。
『雪音よ、一つ頼み事があるのじゃが…』
『頼み事?いいですよ、何でしょう』
『実はのぅ…十一番隊の隊長補佐として書類面の仕事を引き受けてほしいのじゃ』
内容を聞いて雪音は一瞬固まった。
『じゅ、十一番隊って…更木隊長のところ…ですよね…?』
『うむ…』
(安請け合いするんじゃなかった!!)
しかし内容を聞く前にYesと言ってしまっている手前、断るに断れない。それも、こんな平隊員にも関わらず気に入ってくれて「山じい」呼びの許可までくれた総隊長の頼みなのだ。
『わかり…ました…。うちの隊長にはなんて…?』
『そうじゃなぁ…総隊長命令ということで言えば彼奴なら解ってくれるじゃろ』

そして今に至る。
今日も今日とて更木隊長達は虚退治やらなんやらで隊舎には不在。ここまで来ると流石に彼らに辟易してくる。
「たまにはのんびり過ごしたいなぁ…」
希望としては十三番隊舎で。
――チクッ
「っ…!あ…。またやっちゃったか」
瞬間的に指先に痛みを感じ見遣れば人差し指に赤い線ができ、そこからぷっくりと赤い玉が出来ていた。
書類仕事をしているのだから指先を紙で切ってしまうのは、まぁ仕方ない。集中の切れてしまった雪音は一休みしようと席を立った。
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