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第6章 恋人ごっこ[常磐]


「常磐さんおはようございます!お弁当作ってみました」
「社食あるだろ」
「偶にはいいじゃないですか」
(一応、今は恋人同士なんだし)
慣れない料理に悪戦苦闘しながらも頑張って作った大好きな人へのお弁当。
ちなみに、なぜ"一応"なのかと言うと事は1週間前。ことの始まりからいえば私と彼が出会った瞬間から。
私は常磐さんに出会って一目惚れし、猛アタックの末に折れた常磐さんが出した条件。それは

『1ヶ月だけ仮の恋人として接してやる。それで俺を落とせなかったら諦めろ』

といったものだった。1ヶ月で常磐さんに私を好きにさせられなかったらこの想いにピリオドを打たなければならない。
そして条件を出した本人である常磐さんはちゃんとこの1週間私を恋人として扱ってくれている。…まぁ、流石にキスとかそういった接触はないが。
そうこうして、この1週間は常磐さんの好みを聞き、それを実践してみた。少しは手応えがあったと信じたい。
そして2週目は私の好きな物を知ってもらった。ただ、彼は神葬のボスということもあり非常に多忙でその上スパイからも命を狙われる。何か助けになれないかと菊坂さんに相談してみた。
「うーん…それならさ、観察眼を鍛えたら?」
「観察眼?」
「そ、周りの少しの変化にも気づけるように。そしたら少しは常磐さんの手助けできるんじゃない?」
「なるほど!」
「でもなんで雪音はそこまで?」
「…常磐さんが初めてだったんです。私は世間から"認識"されにくかったから…初めて常磐さんが私を見つけてくれた人だったんです。それで一目惚れしちゃいまして」
あはは、と照れ隠しに曖昧に笑うと菊坂さんはそっかといって頭を撫でてくれた。
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