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涙はとうに枯れてしまった【NARUTO】

第6章 休息| カカシ


「はたけさん。」

寝てしまいましたか。

カカシ先輩が任務から帰還後、入院をしているというのを知ったのは、私が里に戻った時だった。なんでももう3日意識がないとか、手術を受けたとか、それが失敗したとか。まあ、色々な噂が錯綜していたけれど、火影様からは、仕事復帰までの間の先輩の護衛を命じられた。なぜ先輩がこんなことになったのかは聞かなかった。必要な情報であれば任務通達の時に与えられる。裏を返せば与えられない情報は私は知らなくていいことである。
火影様からの命は、私以外の暗部が病院外で見張り、私は家族として先輩の身の回りの世話をしながら、護衛をするというもの。
妙に厳重だと思ったが、先輩には写輪眼という秘密があるから仕方ないのかもしれない。カカシ先輩が素顔を知られたくないというのも考慮して、任務として仕事をあてがわれたのだろうが、身の回りの世話については私でなくてもいいはずだ。火影様へそのことを婉曲に伝えたが、形容しがたいなんとも微妙な顔をされただけであった。

麻薬を使う頻度は順調にへっているから、具合は良くなっているのだろうが、弱っている先輩を見るのはなんとも辛いものがあった。頰がこけ、ヒゲも伸び、髪にフケも浮いている。彼は暗部でも有名だし、里内でも憧れの存在であるから、こんな老け込んだ姿、確かにあまり多くの人に見せられたものではないだろう。

看護師の詰所からお皿を借りてきたが、まだ使う必要はなさそうだ。そっと林檎と一緒にテーブルに置いた。

次起きた時には、まずヒゲを剃ってあげよう。
許可がおりたら洗髪もして……。

目にかかった前髪を手で避けてやる。
ベッドに沈み込むように寝ているカカシ先輩の顔は、先ほどより少し穏やかな表情をしている気がした。
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