第1章 04月25日
教室に向かい自分の席に着席してカバンから必要なものを取り出したところで声を掛けられた。
「早いな、為雨」
「ゴーエンジくんっ?!なんでいるの?!」
「…仕事終わるのか?」
少しバツが悪そうなな顔をして登校してきた豪炎寺くんはわたしの席にまっすぐ向かってきた。昨日の時点でてんてこ舞いだったわたしを心配してわざわざ早めに登校してくれたのだと思う。本当に申し訳ない。
「…悲しいことに終わらないかもです、手伝ってもらえますか?」
「あぁ」
豪炎寺くんはわたしが仕事をお願いするとすぐに自分の席でやりはじめてくれた。彼こそがうちのクラスに転入してきたばかりの豪炎寺修也、2年生の会計委員のひとり。わたしの頼もしい仲間なのだ!
普通に豪炎寺くんがむちゃくちゃかっこよすぎて無理だ、こうゆうひとと結婚したい(本日2回目)
豪炎寺くんとは用事があるときに数回した話したことがないのだが、彼の仕事ぶりを見ているととても賢くて優しい人だということがすぐにわかった。
彼が会計委員会に入ってくれていなかったらきっと今頃過労死していたと思う。冬海は遠慮がない。きっと冬海自身がやらなきゃいけない仕事もわたしに押し付けてるんだと思う。去年の副委員長はこんなに大変そうじゃなかった。もう冬海への信用はガタ落ちだ。落ちるとこまで落ちて一生戻ってこない。
「ゴーエンジくん!ほんとに助かったよ、ありがとう」
「無事終わってよかった、あまり無理はするなよ」
資料の作成が終わる頃にはちらほら教室にみんなが登校してくる時間になっていて、それだけ言うと豪炎寺くんはサッと自分の席に戻ってしまったが、ここまで手伝ってくれて本当に感謝している。昼休みを使って印刷すれば放課後に使う資料は無事に完成するだろう。
これでやっと日直の仕事ができると思い、日誌を取りに職員室に向かった。顔を見るだけで不愉快になりそうだが、わたしのクラス担任は今年も冬海だ。ああ、不愉快。