第1章 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし…
師の元で、学びける日々を、
思い出す。
そういえば、あの頃の私が
今までの人生で、
一番キラキラしていた。
そんなことを思い出して、
屯所の部屋で、仕事を進めていた。
するとそこへ、
監察方の山崎が、部屋の襖の外から
私に声をかけた。
山)双葉さん、
副長が、お呼びです。
緊急で、話し合うべきことが
あるとか。
緊急で?
たちの悪い攘夷浪士でも、出たのだろうか…。
…「たちの悪い攘夷浪士」か。
昼間に見た、「彼」を思い出す。
…いや、まさか。
そんなことが、ある訳ない。
騒ぐ心を落ち着けて、
副長の待つ部屋へ、向かう。
でも、苦手なんだよなぁ…、
副長のこと。
我慢するしかないか…。
副長室の前に、着いてしまった。
静かな、でも輪とした声で、
襖に手をかける。
貴)失礼します。双葉、
ただいま参りました。
土)あぁ、お前か。
よし、入れ。
失礼します、と言いつつ、
彼の部屋に入る。
襖を開けると、書類の山と積まれた机の前にあぐらをかいて座る、
泣く子も黙る、真選組副長、
土方十四郎。
最近は、銀時と恋仲だ、とか。
隊士たちが、噂してたっけ?
私が襖を閉めたのを確認すると、
彼は、こちらに座り直し、
じっとこちらを見つめる。
何だろう、この人?
もしや、バレたのか?
だが、彼の口からでたのは、
そんな言葉ではなかった。
土)あー、今日 お前をここへ呼んだのは、お前に頼みたいことがあったからでな。
ここまで言うと、彼はまるで、
自分自身を落ち着けるためかのように、ポケットから出したタバコに、
火をつけた。
土)総悟が、昨日から帰ってきていない。電話をしても、出ない。
またどこぞで、サボりでもしてんだろうと思ってたが、
さすがに帰ってくるのが、遅すぎる。
だからお前、探してきてくれないか、
総悟を。
なんだ、
張りつめていた気が、ほどける。
貴)分かりました。
手当たり次第、探して参ります。
では、
と言って、立ち去ろうとすると、
不意に彼が、言葉を付け加える。