第4章 思へども 験もなしと 知るものを…
武)そうだ、また子さん?
聞きましたか、真選組のことについて。
ま)は?
武)今回、高杉さんが沖田を拐った理由も。
ま)いや、聞いてないッス。
武)今回の高杉さんの目的は、
今真選組にいる、久坂 零杏…あ、彼女のことは、知ってますね?
ま)え、彼女って…
未だ指名手配中の、伝説の攘夷志士、とか噂されている、あの久坂 零杏!?
そう、私は彼女を知っている。
彼女の又の名は、「風夜叉」。
私がこの世界に興味を持ったきっかけの、人物だ。
武)ええ。そうです。
彼女です。
ま)でもなぜ、今さら?
武)どうやら、鬼兵隊に拐うつもりのようです。
もし仮に彼女が鬼兵隊に入れば、
あなた以外にもう一人、女性隊士が増えて、いいんじゃないですか?
仲間は多ければ多いほど、良いものでしょう?
…複雑な気分。
武)元は、攘夷志士。
その技の腕を買われ、真選組に入った、と当時、業界で大騒ぎになっていました。
やっぱり、私はあなたにふさわしい相手ではない。
武市の話を聞いてから、
私は部屋に戻り、気分を紛らわそうと
書類の整理に明け暮れた。