• テキストサイズ

夢操り屋 凛 第一章

第5章 夢の後


「う…ん。つ…疲れた…。」
他人の夢に入るのって…疲れるんだよなぁ…。
寝起きに疲れてるって…ほんと、可笑しい。
なんて、ボーッとしていると…

「凛お疲れさん。」
読みかけの本をパタンと閉じて、
浩二君が手を差し伸べてくれた。

「うまくいったん?」
聞かれた問いに…

「さあ…どうなったやろ。」
答えながら…私は横で眠る彼女を見つめていた。

しばらくして、目覚めた彼女は…
大粒の涙をこぼしていた。

「鏑木さん。私…ちゃんと謝れたから。
 あの時…手を握ってくれて、勇気をくれてありがとう。
 何て言うか…謝れた私の方が好きやわ。」

そう言った彼女の顔は真っ直ぐ前を見つめていた。

「仲直り出来たん?」
浩二君の問いかけに…

「分からへん。勇気が出せた所までで…でも、
 返事は夢じゃなくて、ほんとの彼女の口から
 聞かなあかんのよね。」

「浩二君もありがとう。夢を何とかしてくれる
 なんて、半信半疑やったんやけど…。」

そりゃそうやんなぁ…。
そんな事を思っていた私の横で、
浩二君はニヤニヤと…満足そうに笑っていた。

急いで帰り支度を整えた田中さんは、

「ほんまに、ありがとう。
 謝りに…いってきます。」

…って、小走りに駆けて行く彼女の背中は、
ワクワクした子供のように見えた。


そんな彼女の後ろ姿に、私と浩二君は

「いってらっしゃい。」…とつぶやいて、

二人で顔を見合わせて…笑った。














 
 
/ 9ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp