第11章 良月
さっぱり意味のわからない数式をさっさと埋めて、
宿題を片付けてから、
和奏が作ってくれたパスタを食べる。
一人暮らししてるだけあって、和奏は料理が上手い。
このまま嫁にしたい…と本気で考える。
食器の後片付けをしてる和奏に近付き、後ろからギュッと抱きしめる。
「なぁ、キスさせて。」
「どうしたの?今日の影山くん…なんだか、甘えん坊だね。」
洗い物の手を進めながら、和奏が振り返りもせずに言う。
「和奏が野良猫や猛禽類に食い荒らされるんじゃないかって、心配で。」
和奏がこっちを見てないから言ったのに…すぐに振り返って顔を覗かれたんじゃ意味がない。
「影山くんは私の彼氏なのに。」
それに、フクロウさんだって、猫さんだって、餌を選ぶ権利くらいあるんだから…なんて、呑気に続ける和奏。
「俺、ちゃんと和奏の彼氏なのか?いや、立場の話じゃなくて…和奏の気持ちの話。」
なんで、今こんな話になってるんだろう。
和奏と付き合い出して間も無く2ヶ月が経つ。
学校では既に公認カップルで、冷やかされたりする事もあるが、
俺たち2人の関係は、2ヶ月前のあの日から全く進んでない。