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【報道系】夢小説

第3章 【ミステリア:増田貴久】






「恵麻は…
今、彼氏いるの?」


呼び捨てられた名前のせいで


付き合っていた頃の
懐かしいような、
こそばゆいような、


なんとも言えない
感覚に陥って―――…。


「……うん、いる…よ。」


間を挟む会話に、
貴久くんへの罪悪感が見え隠れする…。


「……今、幸せ…?」

「うん、幸せだよ…。
……加藤くんも、いるんでしょ…?」

「いる……と言えばいるし、
いない……と言えばいない、かな。。」

「何、それ。笑
加藤くんの言うことって、
相変わらず解りづらいよ…。苦笑」


笑いながら見上げると、


びっくりするほど優しい瞳で
見つめられていて…。


一瞬で鼓動が高鳴って
頬が赤く染まるのを感じながら、


そんな自分を覚られたくなくて
思わず顔を伏せる……。


貴久くんとは違う
懐かしさの残る優しい手が


頭をポンポンと叩いて
そのままゆっくりと…、


髪を撫で下ろして―――…。


私の意識は
髪先から
離れられずにいる……。


「今日……逢えて、よかった。」

「…うん……。」

「じゃ…、な。」

「じゃ、ね…。」


どちらからともなく
連絡先を交換しないまま


その場を後にした。。




















「ただいまー。」

「おかえりなさい!」


小走りで駆け寄って抱きつくと…


「今日の恵麻ちゃん、
いち段と可愛いねっ♡」


ニコッと私の大好きな笑顔の彼。


私は、貴久くんの笑顔以上に
愛おしい笑顔を知らない。


それくらい、
素敵な笑顔……。












―――今思えば、
このときの貴久くんの笑顔に
油断しすぎたんだ、


きっと……。











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