第9章 初デート①
あれから数日が過ぎ、迷惑行為のような事はぱったりと収まった。
恋のレポートも少しずつ書き足している。
「神崎さん、今度の日曜日って予定あるかな?」
小林くんは少し顔を赤らめ、頭をかきながら質問して来た。
「日曜日は特に予定はありませんが、どうかしましたか?」
「えっと、それなら一緒にデートしようよ!」
「デート。異性がプライベートに一緒に出かける事などのことを意味しますが、そのような意味合いで合っているでしょうか?」
「そうそう、一緒に買い物したり映画観たりプライベートの時間を共有するのがデートだよ。」
「では、日曜日にデートの予定を入れておきます。」
「うん。じゃあ、10時に駅前集合でいいかな?」
「分かりました。」
日曜9時 駅前
(少し早かったでしょうか…)
本で調べた所、相手を待たせてはならないと記載されていたからといっても、流石に一時間前では早過ぎたかもしれない。
髪も服も変ではないだろうかと気になるのは、やっぱり好きな人にはよく見られたいと思う気持ちが働くからだろう。
「神崎さん…?」
後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
振り返ると驚いたような顔をして私を見る小林くんの姿があった。
「おはようございます。小林くんの私服姿、新鮮ですね。」
「そ、そうだね。神崎さんの私服、可愛いね。」
(もしかしたら勉強ばっかりの神崎さんの事だから、凄くダサいTシャツか制服かと思ったけど、白のワンピースで髪も少し緩めに縛ってアレンジしてあって…とにかく可愛いくてあんま顔見れない!)
「ありがとうございます。」
「じゃ、じゃあ行こっか!」
「はい。」
差し出された手を取り、時間が早く過ぎてしまわないようにゆっくりと歩き始めた。