第10章 初デート②
「こ、小林くん!まだダメです!もう少し…っ!」
「くっ…ヤバい…っ!」
急展開したと思っている方、安心してください。
これからこの様になった経過を語らせていただきます。
「神崎さんってゲームセンターとか行った事ある?」
「ゲームセンターとは、大音量の大型ゲーム機が多く取り揃えられていて若者が主に利用をしている、あのゲームセンターですか?それなら行った事はありません。」
「そっか、じゃあ試しに行ってみよ!」
「これはどういった遊び方をするのですか?」
「ん?これはUFOキャッチャーって言って、このアームをこのボタンを使って動かして中に入ってる景品をつかみ取るんだ。」
可愛らしいクマのぬいぐるみが飾られたショーケースの様な入れ物に興味をそそられた私は、小林くんに教えてもらいながらUFOキャッチャーというものに挑戦する事にした。
「じゃあ、実際やってみるから見ててね!」
小林くんといるとまだ知らない事が沢山ある事が分かる。
そして新しい知識を得る事が出来る。
新しい感情が芽生えるのが分かる。
私、この人を好きになって良かったと頭の片隅でひっそりと思った。
「あー!もう少しで取れそうだったのに!」
「惜しかったですね。もう少し左を狙ったらどうでしょうか?」
「よしっ、もう一回!」
この過程があり、先ほどの様についヒートアップしてしまいました。
「取れたー!」
「やりましたね!」
「はいっ、あげるよ。」
やっとの思いでGETした景品を満面の笑みで私に差し出す小林くん。
「でも、あれだけ頑張って取ったものをいただいてもいいのでしょうか。」
「神崎さんに貰ってほしいから一生懸命取ったんだよ。受け取ってくれる?」
私の為に一生懸命取ってくれたものを受け取ると、それはとても暖かい気持ちになった。
「初めてのプレゼントはもっとしっかりしたものの方がって考えてたんだけど、神崎さんそれ気になってたみたいだし喜んでくれたら嬉しいんだけど…」
「ありがとうございます。大切にします。」
私はいただいたクマのぬいぐるみをそっと抱き締めた。