第8章 解決?
最近神崎さんの様子がおかしい。
あの神崎さんが午後の授業からいきなり体操服で受けるなんて、何かあったに違いない。
本人は蛇口をひねって濡れたって言い張っているけど、多分そうではない。
僕はその日から神崎さんを遠くから見張る事にした。
翌日。
神崎さんはいつも通りに登校。
その後も見守りを続けるも何ら不自然な事は無く、様子がおかしいと思った事がタダの勘違いだったのではないかと思い始めたそのとき。
「あいつなんにも反応なくてマジつまんないんだけど。」
階段上から女子生徒の声が聞こえて来た。
「じゃあ今度はさ、放課後呼び出して直接でいいんじゃん?」
「それいいね!あいつの反応直で見れるし。」
(誰のことを言ってるんだろ…)
胸騒ぎがした僕は放課後、彼女達を物陰から観察する事にした。
放課後。
彼女達の前に現れたのは、神崎さん本人だった。
勿論、彼女達の物騒な話を聞いてから神崎さんに探りを入れていたけど、何もないと一点張りだった。
(何で僕に本当のことを言ってくれないんだろ…)
「単刀直入にいうけど、修也くんと別れてくんない?」
「…何故でしょうか?」
「何故って!あんたと修也くんとじゃ似合わないんだよ!」
『ドンっ』
肩を押された神崎さんは壁にぶつかり、一瞬彼女の顔が歪んだ。
怒りを覚えた僕は飛び出しそうになったが
「似合う似合わないで決めるものなのでしょうか。お互い好きならそれだけでいいはずでは?」
「そ、それは…」
「くくっ…」
神崎さんの純粋な返しに思わず笑みがこぼれる。
「っ?!誰かいるの?!」
「流石神崎さんだね。僕の知らない所で泣いてるか心配したけど、良かった。」
「小林くん、ストーカーは犯罪ですよ。」
「修也くん!何でこんな根暗でド真面目な神崎さんなの?修也くんにはもっといい人が
「根暗は君たちが神崎さんの事を知らないからだと思うけど全然そんな事ないし、ド真面目でド正直だからいいんだ。」
僕は一度神崎さんを見ると、堂々と彼女達に向かい合った。
「僕が好きになった人なんだ。あんまりいじめないで欲しい。」
「わ、分かったわよ…もうしない。」
そう言うと彼女達は神崎さんに一言謝り、学校を後にした。
それからしばらくして僕たちも一緒に手を繋いで下校した。