第4章 これが恋?
先ほどの[もやっ]っとした感情は何だったのだろう。
また分からない事が増えてしまった…。
「あ、神崎さん!丁度いい所にいてくれたわ。これを理科準備室まで運んでほしいの。」
「分かりました。」
結構重かった。
早く教室に戻って帰り支度をしなくては。
「あれ、神崎さん?」
「小林くん、こんな所で何をしているんですか?」
「佐伯さんに呼ばれちゃって」
また佐伯さん…
[もやっ]
またこの感情。
険悪感にも似たこの感情が分からず、思わず心臓に手を当てた。
「神崎さん?大丈夫?」
「小林くん、私何故か最近貴方が佐伯さんの事を笑顔で話すと、もやっとした感情が産まれるのだけど…この感情って何か教えていただけますか?」
「え…それって…」
「一定の時間が来れば治るから病気ではないとは思うのだけど…それに、小林くん以外の男子の口から彼女の名前が出ても何ともないんです。」
「か、神崎さん!?///」
「何でしょう?」
「そ、それって…もしかしたら、僕の事が…好き…なんじゃないかな?…なんて!」
(自分で言うの超恥ずかしい…!)
私が小林くんの事を好き?
だから私は彼の口から佐伯さんの名前が出る事に、険悪感にも近いもやっとした感情を抱いている?
「そう、かもしれないです。」
「…神崎さん!僕は神崎さんの事好きです。」
真っ直ぐな視線。真剣なまなざし。
小林くんも私のことが好きってことは、両思い。
好きと伝えてもらい、両思いだと分かると嬉しい。
この気持ちが恋、心が暖かくなってとても心地がいい。
「では、私と小林くんは両思いって事ですね。これで恋が分かりました。ありがとうございます。」
「え?!ちょっ神崎さん、どこ行くの?」
「どこって、教室へ行って帰る支度をするんですけど…」
「…」
「小林くん?」
「神崎さんはまだ恋が分かってない!」