第2章 肩たたき券
「どうしたら小林くんは私のことを好きになっていただけますか?」
「えっ?!いきなり?!」
「では、小林くんはどのような人のことを好きになるのですか?」
「それは…やっぱり優しくされると好きになっちゃうかな?僕って単純だからさ。」
「優しく…分かりました。小林くんに好きになっていただける様、明日から頑張ります。」
「う、うん。じゃあまた明日。」
(神崎さんって面白いけど、ちょっとズレてる?)
「小林くん」
「あ、神崎さん。おはよ!」
「おはようございます。あれから家でこのようなものを作って来ました。良ければ使ってください。」
「ん?何作った…の、って【肩たたき券】?」
「優しいですか?」
「うーん…お母さんとかにしてあげると嬉しいかもね!」
私の知っている優しくする行為といったら母にしてあげたこのくらい。
その時『優しいね』と褒められたから。
でも思った以上に彼の反応は良く無いみたいだ。
何か間違っていたのだろうか…もしかして!
「小林くんは肩たたきがお嫌いでしたでしょうか?」
「そ、そうじゃないんだけどね。僕、肩たたきしてもらった事無いからちょっと驚いたっていうか、初めてこういうの貰ったからどういう反応していいのか少し迷っちゃったんだ、ごめんね。これ、ありがとう!」
先ほどは失敗してしまった。
午前中の授業を終えて、昼食をとりながら反省をしている。
確かに、小林くんが他の人に対しての優しさと私のしたソレとは違う。
小林くんの優しさは、暖かい。
「修也くん、さっきはありがと!はい、これお礼。」
「え、ありがとう。クッキーだ!」
「うん、修也くん前にクッキー好きって言ってたから。」
あれは、4組の佐伯桜さん。
小林くんとはよく話しているのを見かける。
事前に彼の好きなものをリサーチしてお礼として渡す。
なるほど。そういうのが優しさなのかもしれない。
小林くんも嬉しそう。
[もやっ…]
もや?