第1章 そうだ、恋をしよう。
初めまして。
私は〇〇高校2年3組の神崎と申します。
高校の勉強を一通り履修し終えた私はまだ、唯一知らない事があります。
それはズバリ【恋】です。
知らない事があるというのは気持ちが悪いもの。
だから私は決めました。
「恋をしよう。」
「ぶっふぉwwww」
「?」
「何その【そうだ、恋をしよう】的なノリw」
この人物は私の隣の席で出席番号7番の小林修也くん。
クラスの中でも明るく誰にでも優しい存在。
いわゆる『ムードメーカー』である。
「何かおかしかったでしょうか?」
「いや、神崎さんって面白いね」
彼は私に笑顔を向けて来た。
そんな顔をして接してくれるのは彼くらい。
昔から教科書としか向き合ってこなかった為か、友人は一人も居ない私。
でも彼は他のクラスメイトと変わらない対応をしてくれる。
「小林くん、私に恋を教えていただけないでしょうか?」
「え?!」
「ダメでしょうか?」
「そ、そういうのは好きな人じゃないと!」
「そういうものなのですか?ですが私、お恥ずかしながら好きという気持ちがどういう感情なのか分からないので…」
「え、神崎さん今まで好きな人で来た事無いの?」
「ええ。」
「じゃあ恋を教えてって僕に頼んだのは…」
「隣の席の小林くんに教えていただければ効率的だと考えたからです。」
「…」
頭を抱え込んでしまった。
私は何かまた知らない間に人を傷付けてしまったのだろうか。
「神崎さん」
「はい、何でしょうか?」
「実は僕、好きな人は出来た事はあるけど、まだ付き合うって経験は無くて…正直恋って分からないんだ。」
「そうでしたか。やはり恋というのは難しいのですね…困りました。」
彼の様にクラスの人気者でも『恋』というものが分からないとは。
私にはまだ早かったのだろうか…。
好きな人同士、つまり両思い。
両思いという事はまず【好きになる】もしくは【好きになってもらう】のが第一条件…。
「小林くん。」
「ん?」
「どうしたら小林くんは私のことを好きになっていただけますか?」
「えっ?!」