第14章 最後の恩返し
最後・・・今日で最後って・・。
主「最後ってどう言うこと?!嘘だよね?」
私は、今にでも泣きそうな声で問いただす。
黄「落ち着いて、聞いてほしいっす。」
黄瀬さんは一度、深呼吸をし真剣な表情で私を見る。
黄「俺が、人間で居られる時間は今日まで。クリスマスまでなんすよ。人間になる前にそー約束したっす。」
確かに、きーくんはもう、死んでいる。
この世にはいない存在だ。
それが、人間になって戻ってくる何て、考えられない事だ。
主「・・・・。」
黄「死にたくない、また会いたい。あと、俺はもうひとつ願ったっす。」
主「なに?」
黄「俺を助けてくれた。恩返しっすよ。」
主「恩返し??」
黄「一緒に過ごした時間は短かったっすけど、こーして、人間として鈴音っちと何気ない日常をまた、過ごして・・デートして。まだまだ、足りないっすけど、これが俺からの"最後の恩返し"っすよ。って言っても恩返しとは言えないっすね・・。」
・・・・・・。
主「そんな事ないよ。」
主「私にとっては、最高の恩返しだよ。もー・・最高すぎて、また、泣いちゃうじゃん。」
私は涙を我慢して、黄瀬さんの目を見てニコッと笑った。
主「あと、死んだで生き返って戻ってくる何て、ありえないよね。ちゃんと、受け止めなくちゃね?」
黄「・・・・鈴音っち。」
黄瀬さんが、私に近づく。
両手で私の頬を包み、顔を上に向ける。
黄「鈴音っち。愛してるっす」
主「私もだよ。」
ゆっくり瞳を閉じ、唇が触れる。
___忘れないでほしいっす。
______俺がいつも、側にいる事を。
____そして、もう俺の事で泣かないでほしいっす。