第12章 昔話
産まれた時から独りぼっちで、親や兄弟がいるかどうかさえ分からなかった。
ずっと独りで……寂しかった。
誰かに拾ってもらいたくて、家族が欲しくて、人にすがりついたけど、どの人も追い払い…誰も俺の事を助けようと、相手すらしてくれなかった。
俺は、飼い主のいない捨て犬だった。
あの時は確か、暗くて寒い日だった。
何日もご飯を食べていなくてフラフラで、もうこのまま死ぬのかなって思った。
俺は、道端に座り独りで泣いていた。
その時だった______……。
彼女が俺の目の前に現れたのは。
主「こんばんわ。貴方は独りぼっちなの?」
俺の前にしゃがみこみ頭を優しくて撫でる。
主「すごい泥だらけだね?おいで、私の家に行こう!実は、私も最近独り暮らし初めてさ~寂しくて」
??「………」
泥だらけの俺を優しくて抱き締め、歩き始める。
主「ふふっ!貴方、泥だらけで分からなかったけど、綺麗な黄色なのね」
家に着くと、泥を洗い流してもらいご飯まで用意してくれた。
主「ここのマンションね動物買っていいから安心して居ていいからね?あ!名前!貴方の名前考えてなかったね??」
うーん……と数分悩む彼女をじーっと見つめ、あ!っとひらめいたかの様に話し始める。
主「綺麗な黄色だからー……"きーくん"ってどおかな?私、名前のセンス無さすぎる??」
ふふっ!っと笑う彼女を見て、泣きそうになった。
名前が嫌とかそう言う涙じゃなかった。
嬉しくて、嬉しくて……言葉に出来なかった。
主「きーくん!!これからよろしくね??」
き「ワンッ!!」
彼女は俺を抱き締め、優しくて撫でる。
主「あ!そう言えば!私の名前教えてなかったね??知りたい?」
き「ワンッ!ワンッ!」
主「よーし!なら私の名前を教えてあげよう!私の名前は______……………。」
この日、彼女と出会い、初めて家族が出来たんだ。