第3章 ✳第一条✳ まずは見た目の変化から
ペンを手に取り、書き始めた柊羽は
一度も手を止めることなく書き終えた。
恋禽「…?」
柊羽「その1、まずは見た目の変化から」
恋禽「…私ってそんなに可愛くないの?」
内心ちょっと落ち込む。
いや、相当落ち込んでる。
柊羽「んー、可愛さで言えば…学年1。けど、それを知ってるのは俺だけね」
恋禽「な、なにそれ。褒めてるの?けなしてるの?」
柊羽「褒めてる。ってか、まずその前髪。私服の時はアレンジ加えてるけど、学校の日は伸ばしっぱなしって。誰も寄ってこねぇ」
確かに、普通に目元にかかっている。
柊羽「んで眼鏡。なんで普段はコンタクトなのに、学校では眼鏡なんだよ」
…だって、外し忘れちゃいそうだし…。
柊羽「そしてその服装。靴下上げすぎ、スカート下げすぎ。お前はどこぞのアニメの学級委員長だ」
…そう言われてもさぁ…。
柊羽「いちいち心の中で返事するのも禁止」
恋禽「え、聞こえてるの?」
柊羽「その不満そうな顔を見れば分かるっての」
うぅ…やっぱりすごい。
柊羽「んー、いきなり変えろってのも無理な話だから…、まずは化粧してみろよ」
恋禽「が、学校で?!」
柊羽「そ。いつも出掛ける時にしてんだろ?」
恋禽「してるけど…」
柊羽「それを学校でやればいいの」
恋禽「目立つことは避けたいんだけど…」
柊羽「悪いけど、目立つこと避けてたらモテねぇぞ」
…やはり。
柊羽「もう諦めろよ。どうせお前は【不戦敗女】って全校で有名なんだから」
…だよね。って、は?!
恋禽「な、何それ?!聞いたことないよ?!」
柊羽「皆言ってますー。俺以外全員」
恋禽「まじですか…」
柊羽「まじです。な?ほら諦めて化粧してみ?」
恋禽「うぅ…。わかったよ!…明日からがんばる」
柊羽「よし。心意気はいいけど、明日は土曜日です」
恋禽「あ」
どうやら、相当な努力が必要なようです…。