第3章 ✳第一条✳ まずは見た目の変化から
凜「今日は、恋禽ちゃんに天体望遠鏡の使い方を伝授しようと思って呼んだんだ」
恋禽「て、天体望遠鏡ですか?!」
天文にとっては、魅惑の存在。
置いてあるだけで人気者になれそうなくらい。
凜「そう。やっと手に入ってね。今までの先輩たちが、部費を少しずつためていてくれて、今年の春にやっと買えたんだ」
恋禽「すごい…」
凜「龍太郎は?見る?」
龍太郎「ッチ…。俺、今日は帰ります」
腹を立てた龍太郎は、鞄を持って部室から出て行った。
凜「ははっ。やっぱりまだ子供だね」
凜先輩は、龍太郎が出て行った扉を見つめて呟いた。
恋禽「…子供ですか?」
凜「龍太郎はね。自分に素直っていうか」
恋禽「ど、どこが素直なんですか?!すっごく曲がってるじゃないですか!」
凜「ふっ、はははっ。そんな恋禽ちゃんも子供だよ」
恋禽「…やっぱり…」
凜「君は、もっと自分に自信を持つべきだ」
凜先輩は、布をかけてあった天体望遠鏡を披露した。
恋禽「すごいっ…!かっこいい…」
凜「でしょ?天文部始まって以来のかっこよさ」
恋禽「はいっ!」
私は、先輩の言葉に返事ができなかった。
…自分に自信を持つべき。
私はなぜか
その言葉に、自分の無力さを感じた。
……このままいったら、記録更新できないままかな…。
私は、天体望遠鏡を見つめて思った。
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帰り道。
サッカー部の祐介先輩とバッタリ会い、つい声をかけた。
恋禽「ゆ、祐介先輩っ」
祐介「…あー、この間の」
少し気まずそうに話す先輩。
恋禽「あの、私…」
今度こそ、と口を開いた瞬間。
美南「あー、祐介いた。帰ろ?」
遠くから、彼女の美南先輩が呼んでいた。
祐介「ごめん、また今度」
私は…一生告白できない運命なのでしょうか。