第2章 プライド×劣等感
「えー、お前らも3年と言うことで、本格的に将来を考えていく時期だ!」
爽やかな春の日。
春の麗日っていうのかな。
桜が舞って、たぶん日向ぼっこに最適な心地いい日。
先生のそんな在り来りな言葉が響いて、私の心はツンドラとなる。
中学三年生の春。
みんな進路に迷う頃。
私も例外ではなく、進路に悩んでいた。
お腹痛くなってきたなぁ……。
安藤ひよこ、14歳。
勉強も運動も平均ちょっと下で、友達は一人しかいない。趣味はひとり缶蹴りだ。こんな冴えないやつでごめんなさい、と謝っておこう。
「今から進路希望のプリント配るが皆!!!
だいたいヒーロー科志望だよね。」
「「「はーい!!」」」
ヒーローという職業が脚光を浴びている今、みんながみんな、ヒーローに憧れていた。
私は、ヒーローになりたいかと聞かれればそういうわけでは……。
「せんせぇー、みんなとか一緒くたにすんなよ!おれはこんな“没個性”共と仲良く底辺なんか行かねーよ」
そんな大胆不敵な声をあげるのは幼なじみの爆豪勝己くん。足を机の上にあげちゃって自信満々。
それもそのはず、彼は、勉強も運動もできておまけに眉目秀麗。漫画の主人公みたいな人だ。
人の皮を被った悪魔とかじゃないかななんて思ったことも数えきれないくらいある。だってほら、悪魔って何だってできるし、強いし、性格悪いんだもん。