第11章 〈番外編〉長い夜
相澤先生に怒鳴られ、頭を殴られたその日、私はこの病院の変な噂を耳にした。
「ねぇ、しってたー?ここの病院、出るらしいよ?」
「えーやだー!」
「ほんとにホントだって!」
「ここの病院で死んだ女性の霊が…」
「やだー!やめてよー!!」
廊下をてぽてぽと歩いていたら、そんなべったべたな会話が聞こえてきたのだ。
いくら怖がりな私でも、そんなべったべたな噂信じないよーだ。なんだよでるって、漠然としてるし……。女性って、そりゃ、だってここ、病院ですもの。
お日様が出ている間はそうやって強がっていられた。
しかし、日が暮れ、消灯時間が来ると一転。その噂話が頭から離れなくなった。
『ここで死んだ女性の霊が…』
私は何故か1人用の病室で、広い部屋に1人きり。
「ぜ、全然怖くないし!!ゆ、幽霊なんて、こ、怖くなんか!ていうかい、いないもん!」
ぽちゃん
「ひぃっ!」
なんと水が滴る音でここまで怯えるほど。
ゾンゲゾンゲゾンゲゾンゲ
「な、なに!?あ……室外機……。B級……。」
する音全てにビクビクしてしまっていた。
「寝よう!寝なきゃだめだ、寝なきゃ!!」