第4章 ほんとうの気持ち
タツミside
ソラは、ウェインさんが最初に話しかけてくれた人だと思ってるけど、確かにそれは間違いじゃない。
だけど、あのときは僕もいた。
「君、1人なの?」
「うん。あなただれ?」
「ぼくはね、タツミ。」
「わたし、ソラだよ」
なんて言いながら彼女はずっと川面をみていた。
ヒナタおにーさんが言っていた。あいつは人見知りが激しいからって。
初めはヒナタおにーさんの妹だから仲良くしてやろうってそれだけだった。
だけど、川に行ったとき、彼女が貝を拾って綺麗だろってはじめて笑いかけてくれた。
その時に、恋に落ちた。
そのとき、あいつは川で溺れて。
泳いだこともないのについ、飛び込んだ。
でも泳いだことないから助けられなくて。
結局、ヒナタおにーさんとルデゥスさんが助けてくれた。
そのあと、それ以前の記憶が抜けてしまって。
ぼくも寺子屋が忙しかったりでなかなか会いに行けなくて。
そのときに声をかけたのがウェインさん。
ヒナタおにーさんの話を勘違いして昨日から来たと思ったウェインさんが話しかけて。
そのときに恋に落ちたんだろう。
まったく、ひどい話だよ。
一通り話し終えて、彼女に目をやると、震えていた。
「無理させすぎちまったか?」
「おもい、だした。タツミのことも。なんでわたしがこの村に来たのかも。」
「もういいから。タツミ、聞いてくれ」
「うん。」
「俺の家は大家族で貧乏だった。だから俺が出稼ぎにここへ来たんだ。そのあと、末っ子のこいつが言いにくいんだが、売女として家を離れることになった。だけど、それを止めたくてな。たった1人の妹だしやっぱりめちゃくちゃ可愛いしよ。だから俺、街に行かせる前にこいつを里に連れ込んだんだ。旦那様もそのことは知ってる。スモモも。」
そんな…彼女の笑ったり泣いたり。
すごく明るい彼女の暗い過去。
辛くて暗くて。
「俺、お前が大事だよ。だから気にすんな。お前はお前だよ」
こんな言葉、気休めにしかならないのはわかってる。
それでも。キミはキミらしく。
そうあっていて欲しいんだ。