第4章 ほんとうの気持ち
ウェインさんと初めてキスをしたあの日から3ヶ月が過ぎた。
喧嘩もないしとくになにもなく過ぎた日々。
と、同時にタツミとも距離が開いてしまった。
あのとき、追いかけていたら変わっていたのかな?
なんて、考えても遅いよね。
ガラガラ…
「あ、いらっしゃいまーー「ひさしぶり。」タツ、ミ。」
「あの、少しだけ話ししてもいい?ここでいいから。幸い、今人いないし。」
「あ、うん。いいよ。」
「俺、お前のこと好き。でもウェインさんのこと好きなのもわかってるから。そのままでいいから。忘れるから。だから最後に1回だけお願いがあるんだ。」
わかりきっていたその言葉。
突然の申し出。
未だに頭のついて行かない私は、何もわからず口にしていた。
「いいよ。」
「ありがとう。じゃあ、目をつぶって。」
なにをするのか、わかっていた。
わかっていて、わたしは目を閉じた。
「ーっ。」
唇に感じる温もり。
タツミの香り。
この匂いを嗅ぐのはいつぶりだろう。
とろけそうなこの感覚。
ウェインさんのそれとは違う。
「ごめんね。幸せにね」
それだけ言うとタツミはあの時のように湯屋を出て行ってしまった。
また、止められなかった。
タツミ、ごめんね。
タツミとキスしたのに、考えるのはウェインさんのことじゃなくて、タツミのことだった。
罪悪感とかなくて、タツミのことばかり。
ごめんねって言ったタツミの顔はすごく切なかった。
顔では笑ってたけど、心は泣いていた。
タツミ、タツミ。
「タツミ…」
「妬けちゃうな。キミの彼氏は俺でしょ?」
「ウェイン、さん」
突如感じる唇の温もり。
だけど、なにかが違う。
タツミとのキスみたいにドキドキもしなくてとろけるような感じもしない。
あぁ、私はタツミとキスがしたいんだ。
私が好きなのは…タツミなんだ。
「ま、まって、ウェインさん。」
「わかってるよ。」
「え、なにが…「俺も大人だ。キミがなにを考えているのかわかるよ。行きたいんだろ?あの幼馴染のところ。」ごめんなさい…」
「ふ、なに勘違いしてるのか知らないけど、僕はロリコンじゃないよ。もっと大人な人が好きなんだ。君みたいな子供にはもう興味が失せたよ。さ、何処へでも行くがいいさ。」
初めから本気ではなかったよ。と付け足す彼。