第3章 感謝祭
あれ以来、なんとなくタツミと話しにくくて。
なんとなく、避けてしまっている。
そのせいか、今まで話しかけてこなかった人がタツミに話しかけている。
「タツミくん!感謝祭、なにがいい?」
「くれるの〜?なんでもいいよー?ありがと〜」
タツミって…こんなにモテたっけ。
なんかつまんない。
ふと、目を向けるとウェインさんがいた。
「やぁ。タツミくん、モテるね。やきもち焼いた?」
「なんでそうなるんですか…感謝祭ですからね。ウェインさんはリシェットさんになにもらうんですか?」
そうたずねると、なにか歯切れ悪そうにしていて、こんなウェインさん初めて見るからなんか気になって。
「別れたんですか?」
「うん。実は俺、リシェットじゃない人のこと、ずっと好きだったみたい」
リシェットさんじゃない人のことを好き?
「え…それって」
「ふふ。変な顔してるよ…」
慌てて手で隠すが時すでに遅し。
好きな、人か。
でも全然ショックじゃなくて。
なんでなんだろう。
「こんなおじさんだけど、感謝祭のお菓子くれる人、同年代はみんな結婚してるから、ソラちゃんからの、欲しいな。」
「そ、そんなとんでもないです。私でよければ…ぜひ。」
「ありがとう。明日、楽しみにしてるね。」
それだけ言うとウェインさんはウェスタウンに帰っていってしまった。
なんだか、よくわからないことになっちゃった。
前までの私ならすごく、嬉しかったはずなのに。
タツミのことが気になって仕方ない。
ほんと、最近私おかしいよ。
「オラにも、くれるか?」
「ヤイチ。うん。あげるよ。なにがいい?」
「じゃあ、オラカステラがいい。」
「いいよ。作るね。」
こんなこと言ってるけど、毎年あげてるし、毎年カステラなんだ。
スモモはなに作るんだろう。
コマリさんは今年はヒナタにぃになに作るんだろう。
「今、ウェインさんと話してたね。よかったね〜」
「タ、ツミ。」
「感謝祭のこと?」
「あ、いや、リシェットさんと、別れたらしいよ…」
「ふーん。チャンスだね〜頑張ってね」
応援、されてるのに、チクチクして痛い。
泣きそうな、そんな気持ち。
タツミ…。
「そ、そだね。」
なんて、心にもないこと言ってしまう。