第6章 これは同棲なのか間借りなのか。
裕Side
由架が泣き止むことは無かった。
散々泣き続けて、泣きつかれて寝てしまったあいつを見て俺は「これから俺、隣にいられるのか…?」と呟く。
ベッドに運ぼうかと思ったが、一人にしておけなくて自室のベッドに運んで俺はその隣で寝ることにした。
寝ているあいつの顔には泣いていたときの涙がまだ少しだけ目元に残っていて俺はそれを拭う。
兄さんは世間体を気にするような人じゃない。
何か他にあったんだと思う。
だとしたら何だったんだろうか。
俺には検討がつかなかった。
けれど何となく、自分に何か問題があるんだろうということだけ察した。
兄さんを説得しないことにはすべてが進まない気がした。
簡単にいってしまえば、兄さんを味方につければ無敵だと思っている。
俺と兄さんは子供の頃から普段はいたずらしたりするような子供じゃなかった。
どちらかと言うといいこちゃんしていたといた。
俺はそれが当たり前だと思っていたし、小学校に入ったときは軽いカルチャーショックのようなものを受けたのを今でもよく覚えている。
それをみた兄さんがとある年のハロウィーンに「ちょっと悪いことしよっか?」と俺を誘った。
悪いことと言っても普段そんなことを一切したことがなかったやつがそんな大層なことをできるわけでもなく。
俺はてっきりお菓子をいつもより多く食べるとかそうゆうことだって思ってた。
けどそれは俺の検討違いな解釈だった。
自分達の部屋のなかをいつもにないくらいいろんなものを広げてがちゃがちゃにしたり、手芸用の綿を勝手に持ち出して部屋のなかに撒いたり。
たったそれだけだった。
けど、どことなくスッキリしてそれから小学校に在学中はやりたくなることもあるんだろうなとどこかそれを見て納得していた。
多分そうさせるために、兄さんは一緒にいたずらしたんだと思う。
人の気持ちのわかる兄さんだからこそ、いろんな人を動かせる兄さんだからこそ、味方についていてほしいのだ。
それに、自分が尊敬している人くらいには自分の好きな人なんだって自信もって言わせてほしいからな。